「排出ガス後処理装置検討会」最終報告のとりまとめを行う

2014年03月31日

ディーゼル重量車の排出ガスについては、現行の平成21年規制(ポスト新長期規制)より以前に適用されていた平成17年規制(新長期規制)適合車のうち排出ガス後処理装置として「尿素SCRシステム」※を搭載したものについて、使用過程で同システムの性能が低下してNOxの排出量が増加する事例が確認されている。

国土交通省と環境省が研究機関に委嘱して設置した「排出ガス後処理装置検討会」が昨年3月に公表した中間報告では、[1]性能低下の主な原因は同システムを構成するSCR触媒に未燃HC(炭化水素)が付着する「HC被毒」であると特定するとともに、[2]同システムを昇温すれば被毒が解消し性能が一定程度回復することから、[3]関係する自動車メーカーに定期的な昇温を行うよう求めている。
検討会は引き続き検討を進め、今般、最終報告をとりまとめた。
※尿素SCRシステム:尿素水を利用して排出ガスの成分の一つである窒素酸化物(NOx)の量を低減させる装置

最終報告のポイントは下のとおり

•平成17年規制適合車について、関係メーカーによる昇温作業の実施状況と効果を評価の上、メーカーに引き続き実施を求めることとした。また、尿素SCRシステムを構成する前段酸化触媒の劣化のメカニズムを検討した。
•平成21年規制適合車について調査したところ、一部の車種についてはNOxの排出量に若干の増加が見られたものの、排出ガス後処理装置の性能は使用過程においても概ね適切に維持されていると判断した。
•今後の取組の方向性は、以下のとおり。
•平成17年規制適合車については、関係メーカーに対して昇温作業の実施率の向上等の積極的な取組と、環境省及び国交省への実施状況の定期的な報告を求める。
•平成21年規制適合車については、今後の使用過程で走行距離が伸びた場合の排出ガス性能について、環境省、国交省及び関係メーカーが連携して実測調査を実施すべき。
•平成28年からの次期規制に向けて、メーカーには、本報告を参考に今後の技術開発において排出ガス後処理装置の耐久性の一層の確保を図ることを求める。また、使用過程での性能維持方策として、各種センサー等により性能低下を検出する高度な車載式故障診断システム(OBDシステム)を平成30年より義務付ける。
•触媒の性能低下のメカニズムについては、未解明の事項が多いことから、環境省及び関係メーカー等が協力して、引き続き中長期的に調査研究を実施すべき。

国土交通省としては本最終報告で示された方向性を踏まえ、高度なOBDの義務付けのための法令改正や所要の調査等を実施する予定。

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